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職場温度マイナス5℃プロジェクト
2025年 9月 22日

学校現場における熱中症対策と自治体の支援制度

はじめに

毎年のように猛暑日が続く日本の夏。子どもたちが長時間を過ごす学校では、熱中症のリスクが非常に高まっています。特に体育の授業や部活動、運動会などの屋外活動時は注意が必要です。学校側も冷房設備や日よけ設置など対策を進めていますが、その多くには大きなコストが伴います。そこで注目すべきが 自治体による支援制度。国と地方の両方で、学校の暑さ対策を推進する補助金・助成制度が用意されています。この記事では、学校での熱中症対策の現状と、活用できる自治体支援制度について詳しく解説します。


学校現場における主な熱中症対策

1. 教室の冷房設備導入

近年、多くの自治体で普通教室へのエアコン設置が進みました。文部科学省の調査によると、公立小中学校のエアコン設置率は90%以上。ただし設置は進んでも、老朽化や運用コストが課題になるケースもあります。

2. 遮熱・断熱の工夫

  • 遮熱フィルムやブラインドを窓に設置

  • 遮熱塗料を屋根に塗布

  • グリーンカーテン(植物による日よけ)の導入

これらにより教室内の温度上昇を数度抑えられ、冷房の効率も向上します。

3. 屋外活動での熱中症予防

  • WBGT計(暑さ指数計)を活用した運動制限ルール

  • テントやミストシャワーの設置

  • 水分補給の徹底と休憩時間の確保

4. 保健指導と教育

児童生徒自身が「のどの渇きを感じる前に水分補給する」「めまいや頭痛を訴えたらすぐ休む」など、熱中症を正しく理解することも重要な対策です。


自治体による支援制度の例

東京都

  • 学校施設環境改善交付金
     冷房機器や遮熱フィルムの設置に補助。

  • 熱中症予防対策支援事業
     WBGT計やミスト装置など、屋外活動での機材購入に助成。

大阪府

  • 公立学校施設環境改善事業
     空調設置・更新の費用を一部負担。

  • 学校安全推進費補助
     熱中症予防マニュアル作成や安全教育活動に活用可能。

名古屋市

  • 遮熱フィルム・遮熱塗装導入支援
     市内小中学校を対象に、校舎の暑さ対策工事を補助。

その他の地域

多くの自治体が「学校施設の省エネ改修」と「熱中症対策」を一体化した補助制度を導入。小規模校でも活用できるケースが増えています。


支援制度を活用するメリット

  1. 導入コストの軽減
     エアコン1台数十万円、遮熱工事数百万円規模の投資を補助で負担軽減。

  2. 教育環境の改善
     快適な教室環境は学力や集中力の維持にも直結。

  3. 保護者の安心感
     自治体が積極的に対策することで、子どもを預ける家庭の安心度が高まる。


活用にあたっての注意点

  • 予算枠に限りがある
     申請が早いほど採択されやすい。年度初めに情報収集を。

  • 要件を満たす必要
     WBGT計の導入や安全マニュアル策定など、条件が設定されている場合がある。

  • 補助は後払いが多い
     一時的に学校や自治体が費用を立て替える必要がある。


学校現場での活用事例

  • 東京都内の小学校
     WBGT計を導入し、気温・湿度に応じて運動量を調整。補助金で導入費用をカバー。

  • 大阪府の中学校
     ミストシャワーとテントを設置。部活動中の熱中症件数がゼロに。

  • 名古屋市の小学校
     遮熱塗料を校舎屋根に施工。教室温度が平均2℃下がり、冷房効率が向上。


まとめ

学校における熱中症対策は、子どもたちの健康と学習環境を守るために欠かせません。

  • 冷房設備の導入・更新

  • 遮熱・断熱による温度上昇抑制

  • 屋外活動でのテント・ミスト・WBGT計の活用

  • 児童への教育と意識づけ

これらを進める際に、自治体の補助金や助成金をうまく活用すれば、導入コストを大幅に抑えられます。
教育現場と行政が協力して取り組むことで、子どもたちが安全に学べる環境を整えることができるでしょう。