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ここ数年の猛暑で、学校現場における熱中症リスクは深刻さを増しています。特に体育の授業や部活動、屋外行事では、子どもたちが高温環境にさらされる時間が長くなり、熱中症搬送のニュースも後を絶ちません。こうした背景から注目を集めているのが 冷却ファン付きユニフォーム(空調服)。従来は工場や建設現場で普及していましたが、今では学校でも導入が進みつつあります。本記事では、冷却ファン付きユニフォームの特徴やメリット、導入事例を紹介し、学校現場における可能性を探ります。
冷却ファン付きユニフォームは、衣服に小型ファンを内蔵し、外気を取り込みながら体の熱を逃がす仕組みを持った作業着です。
仕組み:服の中に風を循環させ、汗を気化させて体を冷却。
電源:充電式バッテリーで稼働(稼働時間は約5〜8時間)。
使用感:体感温度を3〜5℃下げる効果があるとされる。
もともとは過酷な労働環境向けに開発されましたが、子どもたちの安全対策としても注目されています。
猛暑の長期化
真夏日が6月から9月まで続く年もあり、授業や行事の日程調整が困難。
熱中症事故の増加
特に部活動中の発症が多く、毎年全国で搬送事例が報告されている。
自治体による補助制度
教育委員会や自治体が空調服導入を支援する制度が増えている。
汗の蒸発を促進し、体温上昇を防止。
体育や部活動での安全性が向上。
運動中でも衣服内が蒸れにくく、集中力が保たれる。
保冷剤やミストと比べて、バッテリー稼働で数時間持続。
授業・部活動だけでなく、夏祭りや校外学習でも使用可能。
コスト負担
1着あたり1万〜2万円前後。生徒全員分を揃えるのは難しい。
バッテリー管理
充電忘れやバッテリー交換が必要。
安全性
ファン部分が破損した場合のケガ防止や、電気製品としての耐久性確保が重要。
東京都内の中学校
夏の部活動で試験的に導入。生徒から「楽に動ける」「練習に集中できる」と好評。
大阪府の高校
野球部とサッカー部で採用。熱中症搬送ゼロを実現。
愛知県の小学校
運動会で係の先生や一部生徒が着用。暑さによる体調不良が減少。
部活動や教職員から導入
まずは運動部や屋外業務が多い先生から活用。
レンタル制度の活用
イベントや特定期間のみレンタルする方式でコストを抑える。
補助金の利用
自治体によっては「教育環境改善助成」などで費用を一部補助。
冷却ファン付きユニフォームは、学校における新しい熱中症対策の選択肢として広がりを見せています。
体温上昇を防ぎ、熱中症リスクを軽減
快適性を高め、学習や運動の集中力を維持
補助金やレンタル制度でコスト課題を克服
今後は「全員導入」ではなく、リスクの高い活動や対象者から少しずつ導入を進めることが現実的です。学校と自治体が連携し、子どもたちの安全を守る仕組みづくりが求められています。