マイナゴ
職場温度マイナス5℃プロジェクト
2025年 9月 26日

学校での保健室における熱中症対応フロー

はじめに

猛暑が続く近年、学校における熱中症の発生件数は増加傾向にあります。特に体育や部活動、運動会などの屋外活動時はもちろん、教室内でも熱中症が起こるケースがあり、保健室での迅速な対応が子どもの命を救うことにつながります。そのためには、 誰が・いつ・どのように動くかを明確化した対応フロー を整備しておくことが不可欠です。本記事では、学校保健室での熱中症対応フローを具体的に解説します。


熱中症の主な症状と重症度分類

軽度(Ⅰ度)

  • めまい、立ちくらみ

  • 筋肉のけいれん(こむら返り)

  • 大量の発汗

中等度(Ⅱ度)

  • 頭痛、吐き気

  • 全身のだるさ、虚脱感

  • 意識がぼんやりする

重度(Ⅲ度)

  • 意識障害

  • けいれん

  • 高体温(40℃以上)
    → 救急搬送が必要


保健室における対応フロー

1. 発見・搬送

  • 児童生徒が体調不良を訴えたら、教員は速やかに保健室へ搬送。

  • 自力歩行が困難な場合は車椅子や複数人での搬送を徹底。

2. 初期評価

  • 保健室到着後、 意識レベル・体温・脈拍・発汗状況 を確認。

  • 「軽度か中等度か、それとも重度か」を即座に判断。

3. 応急処置

  • 衣服をゆるめ、涼しい場所で安静

  • 冷却:氷嚢や冷却材を首、脇の下、太腿の付け根に当てる。

  • 水分補給:意識がある場合は経口補水液を少しずつ摂取。

4. 医療機関への連絡基準

  • 意識障害、嘔吐、体温40℃以上 → すぐに119番通報。

  • 中等度の場合も保護者へ連絡し、医療機関受診を推奨。

5. 記録・報告

  • 発生状況、症状、処置内容を記録。

  • 校長・学年担任・保護者へ報告し、再発防止につなげる。


教員と保健室の連携体制

  • 事前教育
     全教員に「熱中症の初期症状チェックリスト」を配布。

  • 搬送ルートの明確化
     グラウンド→保健室までの最短ルートを共有。

  • 緊急連絡網の整備
     救急要請・保護者連絡の役割分担を決めておく。


保健室に整備すべき備品

  • 冷却用具(氷嚢、保冷剤、冷却シート)

  • 経口補水液、スポーツドリンク

  • 体温計(非接触式・実測式)

  • 車椅子、担架

  • 扇風機やポータブル冷風機

これらを常備し、定期的に在庫確認を行うことが重要です。


学校全体での予防的取り組み

  1. WBGT計の導入
     暑さ指数を計測し、運動の中止基準を明確化。

  2. 水分補給ルール
     授業中でも自由に水分を取れる環境を整える。

  3. 児童への啓発
     「のどが渇く前に飲む」「異常を感じたらすぐ申告する」といった教育。

  4. 定期研修
     教員・保健室スタッフ向けに熱中症対応のシミュレーションを実施。


導入事例

  • 東京都内の小学校
     保健室に冷却ベッドとミストファンを導入。迅速な冷却で救急搬送が減少。

  • 大阪府の中学校
     全教員が年2回の熱中症対応研修を受講。発生時の対応スピードが向上。

  • 愛知県の高校
     保健室の備品を自治体助成金で整備。万全の体制で部活動中の事故を防止。


補助金・助成制度

  • 学校施設環境改善交付金(文部科学省)
     熱中症対策備品の整備費用に活用可能。

  • 自治体独自支援
     保健室の冷却設備や救急備品を助成する制度あり。


まとめ

学校の保健室は、熱中症から子どもたちの命を守る最前線です。

  • 症状に応じた迅速なフローを明確化

  • 教員・保健室の連携で初動を早める

  • 冷却備品や水分補給体制を整える

  • 予防と教育で再発を防ぐ

これらを徹底することで「熱中症ゼロの学校」を実現できます。保健室の対応フローは、児童生徒の安全を守る 命のマニュアル なのです。