
目次
猛暑が続く近年、学校における熱中症の発生件数は増加傾向にあります。特に体育や部活動、運動会などの屋外活動時はもちろん、教室内でも熱中症が起こるケースがあり、保健室での迅速な対応が子どもの命を救うことにつながります。そのためには、 誰が・いつ・どのように動くかを明確化した対応フロー を整備しておくことが不可欠です。本記事では、学校保健室での熱中症対応フローを具体的に解説します。
めまい、立ちくらみ
筋肉のけいれん(こむら返り)
大量の発汗
頭痛、吐き気
全身のだるさ、虚脱感
意識がぼんやりする
意識障害
けいれん
高体温(40℃以上)
→ 救急搬送が必要
児童生徒が体調不良を訴えたら、教員は速やかに保健室へ搬送。
自力歩行が困難な場合は車椅子や複数人での搬送を徹底。
保健室到着後、 意識レベル・体温・脈拍・発汗状況 を確認。
「軽度か中等度か、それとも重度か」を即座に判断。
衣服をゆるめ、涼しい場所で安静
冷却:氷嚢や冷却材を首、脇の下、太腿の付け根に当てる。
水分補給:意識がある場合は経口補水液を少しずつ摂取。
意識障害、嘔吐、体温40℃以上 → すぐに119番通報。
中等度の場合も保護者へ連絡し、医療機関受診を推奨。
発生状況、症状、処置内容を記録。
校長・学年担任・保護者へ報告し、再発防止につなげる。
事前教育
全教員に「熱中症の初期症状チェックリスト」を配布。
搬送ルートの明確化
グラウンド→保健室までの最短ルートを共有。
緊急連絡網の整備
救急要請・保護者連絡の役割分担を決めておく。
冷却用具(氷嚢、保冷剤、冷却シート)
経口補水液、スポーツドリンク
体温計(非接触式・実測式)
車椅子、担架
扇風機やポータブル冷風機
これらを常備し、定期的に在庫確認を行うことが重要です。
WBGT計の導入
暑さ指数を計測し、運動の中止基準を明確化。
水分補給ルール
授業中でも自由に水分を取れる環境を整える。
児童への啓発
「のどが渇く前に飲む」「異常を感じたらすぐ申告する」といった教育。
定期研修
教員・保健室スタッフ向けに熱中症対応のシミュレーションを実施。
東京都内の小学校
保健室に冷却ベッドとミストファンを導入。迅速な冷却で救急搬送が減少。
大阪府の中学校
全教員が年2回の熱中症対応研修を受講。発生時の対応スピードが向上。
愛知県の高校
保健室の備品を自治体助成金で整備。万全の体制で部活動中の事故を防止。
学校施設環境改善交付金(文部科学省)
熱中症対策備品の整備費用に活用可能。
自治体独自支援
保健室の冷却設備や救急備品を助成する制度あり。
学校の保健室は、熱中症から子どもたちの命を守る最前線です。
症状に応じた迅速なフローを明確化
教員・保健室の連携で初動を早める
冷却備品や水分補給体制を整える
予防と教育で再発を防ぐ
これらを徹底することで「熱中症ゼロの学校」を実現できます。保健室の対応フローは、児童生徒の安全を守る 命のマニュアル なのです。