近年の猛暑は、オフィス環境にも大きな影響を与えています。室内の温度が高いと、社員の集中力や作業効率は低下し、体調不良や熱中症リスクも高まります。特に冷房が効きにくい古い建物や、人員・機器が密集しているオフィスでは、「熱を逃がす」仕組みが欠かせません。本記事では、オフィスで実践できる換気と空調の最適な活用法を詳しく解説します。
目次
人や機器からの発熱
パソコン、プリンター、サーバーなどのOA機器は常に熱を発しています。人数が多いほど室温も上昇します。
換気不足
外気の取り入れや空気循環が不十分だと、熱が室内に滞留します。
空調の偏り
空調の吹き出し口が限られていると、冷気が届かず「暑いエリア」と「冷えるエリア」が生まれます。
建物の構造
窓が少なく風通しが悪い、断熱が不十分、といった要因も熱のこもりを助長します。
窓をただ開けるだけでは十分な通風が得られません。
効果的なのは 対角線上の窓を同時に開けること。風の通り道をつくることで、効率的に熱気を排出できます。
換気扇やサーキュレーターを併用すると、空気の流れが安定します。
コピー機やプリンター付近は特に熱がこもりやすいため、局所的に換気扇を設置すると効果的です。
給気と排気のバランスを取り、空気が滞留しないようにしましょう。
エアコンの冷気を部屋全体に行き渡らせるために必須。
吹き出し口に向けるのではなく、部屋の隅から対角線に風を送ると空気循環がスムーズになります。
推奨温度は 26〜28℃。低すぎる温度設定は電気代を増やすだけでなく、冷えすぎの不調を招きます。
重要なのは「風量」。強めに設定して空気を動かすことで、体感温度を下げつつ熱の滞留を防げます。
ホコリや汚れで塞がっていると、冷気がうまく循環しません。定期的な清掃で空調効率を維持しましょう。
人が密集する会議室と、常時空いているエリアでは必要な冷却量が異なります。
温度センサー付きの空調システムやパーティションを活用して、必要な場所に重点的に冷気を送る工夫が有効です。
外からの直射日光は、室温上昇の大きな要因。
ブラインドを水平に保ちつつ外光を反射させる「遮熱ブラインド」や、窓に貼る遮熱フィルムで効果的に熱を防ぎます。
夜間の外気を利用して熱を建物外に逃がし、翌日の室温上昇を抑える「ナイトパージ」も有効です。
タイマー付き換気扇や窓開閉センサーを導入すると自動化できます。
PCやコピー機を一箇所に集中させない
→ 発熱源が固まると、そのエリアだけ暑くなる。分散配置で温度ムラを防ぎます。
人の動線を考慮した席配置
→ 換気が効きやすい場所に座席を設けることで、体感温度を下げられます。
サーバールームの独立管理
→ サーバーは熱の大敵。専用空調で隔離管理するのが理想です。
大掛かりな改修が難しい場合でも、サーキュレーター導入・ブラインド調整・窓開けルールの徹底だけで体感温度は大きく変わります。
国や自治体による「省エネ改修」「職場環境改善」の補助金を利用すれば、空調更新や遮熱フィルム導入の費用を軽減できます。
オフィスにおける暑さ対策は、「冷やす」だけでなく「熱を逃がす」工夫が重要です。
換気:窓の開け方、換気扇、サーキュレーターで熱気を外に排出
空調:風量調整・吹き出し口点検・ゾーニングで効率化
建物工夫:ブラインドや夜間換気で熱の侵入を防ぐ
配置:人と機器のレイアウトで温度ムラを改善
これらを組み合わせれば、快適で健康的なオフィス環境を実現でき、生産性の向上にも直結します。夏を乗り切るための「逃がす」ベストプラクティスを、ぜひオフィスに取り入れてみてください。